用語解説
用語解説
ーコンサルタント、コンサルティングファームー
コンサルタントは、クライアントが抱えている経営課題を明らかにし、解決案を提示し、場合によってはその解決の実行まで支援する人です。そしてコンサルティングファームは、コンサルティング会社のことです。
自分達のことをわざわざ外部の人間に頼む目的は、業界や会社の凝り固まった考え(確証バイアス)を払拭させる、クライアントでは賄えない領域で瞬間的ブレイン(高い専門性と知識)が必要、など・・・・。したがってコンサルタントにもそれぞれ得意分野があります。
コンサルティングファームは専門領域や規模によってグル-ピング出来ます。
・大手コンサルティングファーム ~ 一貫したサービスを提供できるファームで外資系も多々あります。北海道ではデロイトトーマツが有名だと思います。
・独立系コンサルティングファーム ~ 中小企業のサポートが中心で、特定領域もしくは特定業界に特化しているファームも多いと思います。グルーピングが不適切かも知れませんが、中小企業コンサルとして北海道ではタナベ経営や吉岡経営センターが有名だと思います。
・小規模コンサルティングファーム ~ 1人対応や、またフリーランスもいます。同じコンサルタントが長く担当する長所があります。合同会社コンサル札幌フィンケムはここに含まれます。
費用は依頼内容や契約期間によって異なるは当然ですが、コンサルティングファームの種類・規模によりベースとなる単価(コンサルタント1人〇〇万円/月)が違うので大きな価格差があります。費用相場はネットでも調べられます。
クライアントは品質、スピード、タイミングすべてをコンサルタントに期待すると思いますが、期待内容を整理し、自分に合ったコンサルタントに依頼することが重要です。分かりやすく例えるならば、買い物のときのお店選びです。デパート、大型ショッピングセンター、スーパーマーケット、専門店、コンビニやネット通販を上手に使い分けていると思います。贈り物にはデパートの包装紙でないと格好がつかないときがありますし、自分用ならば「実物をお店に見に行って、納得したらネットで注文する」こともあるでしょう。
中小企業において何か困ったとき、顧問税理士に守備範囲を超えて何でも相談している場合が多いと思います。コンサルタントは具体的な仕事内容がわかりにくく馴染みがないことや、コンサルティング費用が高額というイメージもあるかも知れません。初めてコンサルティングを依頼する時には、事業計画作成のように内容を特定すると安心して相談できるかと思います。
参考図書 著者 大谷内隆輔 コンサルティング業界のしくみとビジネスがしっかりわかる教科書 ㈱技術評論社
ーパーパスー
パーパスは日本語では目的と訳されますが、ビジネス文脈のうえでは、「パーパス=社会的存在意義」となります。「企業は何のために存在するのか、社会においてどのような責任を果たすのか」に対する答えがパーパスです。これは「2020年代最重要コンセプト」とも言われます。
これを読んでいる貴方は多分「おじさん」だと思いますが、この解説を読むと若い世代(ミレニアル世代やZ世代)とのジェネレーションギャップの本質が見えるかも知れません。この世代はおじさん世代が「利益がビジネスの最終目標」と叫んでも「????・・」だと思います。彼らは気候変動、人種格差、環境、ジェンダーなどの社会課題への関心が高く、社会をより良い方向へ進化させることを政府やメディアではなく、ブランドや起業に期待し、自らのスタンスを消費で表現する傾向があると言われています。彼らの消費スタイルが「新しい意義化する経済」を連れてきており、大きな潮流となっています。
パーパスは非常に幅の広い概念ですが、「企業のパーパス経営とは何か」のわかりやすい解説を紹介します(アタックス社長塾チャンネルより引用)。企業にとっての意味を具体的に3つに分解しています。
①コンピタンス ~自社の商品・サービスが果たす機能
②大義 ~実現したいと望む社会善
③文化 ~事業を運営する想い
企業は事業の目的や活動のあり方についてパーパスを起点とします。事業の「スタンス」とも言えますが、インターネットにより複雑かつ密接につながった世界では、パーパスを起点として社会全体の利益につながるスタンスが、競争優位性を生み出すと考えます。
「作って、売って、終わり」や「タテ社会の力学」ではもはや若い世代を組織に惹き付けることができず、人材確保のためには仕事の社会的意義や持続可能性を示すことが必要と思います。リーダーシップについて言えば「パーパスの下ではボスはいない」とも言われ、個々人の主観を重視します。「他人軸」重視から「自分軸」への移行が顕著になると思います。
なお、パーパスとサステナビリティ(持続可能性)という概念はとても相性が良いので、グローバル企業では経営理念ではなくパーパスを策定するケースが増えていると思います。
参考図書 著者 岩嵜博論・佐々木康裕 パーパス「意義化」する経済とその先 ㈱ニューズピックス
ー事業計画ー
事業の目標や方向性を明確にするのが事業計画ですが、企業のステージに応じて計画にも種類があります。例として、創業計画、新規投資計画、経営改善計画、事業承継計画など・・・・。
厳密な事業計画書は分かりやすく言うと、戦略やストーリー、ビジョンを語るようなパワーポイント資料と、収支計画・財務三表(BS、PL、CF)等の数値を表現したエクセル資料、この2つをセットにします。
フルパッケージで作成すると大変な作業となり最短でも3カ月はかかります。際限がない作業で疲弊する前に「誰に対して何の目的で使うのか」を検討すべきです。主な目的は4つだと思います。
①ステークホルダー(銀行など)への説得・理解のために作る ~ 資金繰り、ファイナンス目線での目的
②従業員に対して全社的方針を示すことでモチベーションを生み出す ~ ビジョン、改革への共感、など組織的な目的
③経営者自身が戦略を確認するため ~ パーパス、ビジョンについて考え抜く
④その他 ~ 助成金や補助金のために所定のフォーマットで作成する、銀行の融資審査に際し形式的に必要、など割り切って作成
その上で、すべてを充足するような事業計画ではなく、作成目的に応じてストレートに必要な要素だけで構成する方が説得力があると思います。
企業としては外部の利害関係者、特に銀行が”何をポイントとして計画を見ているのか?”が気になると思いますし、それが作成時のポイントにもなります。まず銀行は色々な角度から目を通しますが、特に”絵に描いた餅”ではなく現実的、根拠ある内容かを重視します。そのうえで最終的には「リターンとして返ってくるか(借入金返済能力)」という結論に向けて検証していきます。
したがって銀行へ提出する事業計画は数値に重要度を置き、そこから拡げて行くような作り方が必要です。
参考動画 バックオフィスの道 公認会計士 植西祐介
ー管理会計ー
”会計は税理士に依頼しているけれど、管理会計って何?”
平たく言うと、管理会計とは将来情報としての「経営の天気予報」で、難しく言うと「経営の将来について有益な情報をわかりやすく伝える」です。利用者は内部経営管理者(経営者や財務担当者)です。
業務で言うと、資金繰り管理、予算管理、原価管理、経営分析です。さらに具体的に言うと、事業計画策定、年度予算策定、月次業績管理、原価計算/内部費用配賦、製品別/部門別業績管理、KPI・KGI設計などとなります。このように多岐にわたるので経営状況を「見える化」するために、必要な情報をまとめて明確化しておくことも必要です。
分かり易くするためにさらに分類すると、管理会計は予実管理などのDCAサイクルを回す「業績管理(責任)会計」と、意思決定を検討する「意思決定会計」に分けることができます。
これに対して”制度会計”は、外部利害関係者(株主や銀行、取引先および銀行)に対する過去実績報告を目的として、会社法や会計基準などの明確なルールにもとづいて行う会計となります。業務で言うと、帳簿管理、決算書・税務申告書作成になります。
管理会計には様々な領域があり、会社により千差万別です。語弊があるかもしれませんが、管理会計は「経営に役立つ情報」なことが重要であり、法律や規則などのルールはありません。小規模企業の場合、”どこまでやるのか?”ということにもなります。
また過去・未来で分けると、制度会計が過去志向(過去の財務情報を報告)なのに対し、管理会計は未来志向(未来の意思決定に関わる報告)となります。
ーKPIマネジメントー
KPIとは重要業績評価指標とも呼ばれ、”業績に大きな影響を与えるためカギとなる重要指標”として設定します。例として、売上/坪、来店人数、客単価などがあります。
KPIを設定するメリットは、全員が目標共有できる、アサインが容易になる、継続的にPDCA活動ができる、人事評価がしやすくなる、などがあるので、プロセス管理のマネジメント手法として普及しています。
業種や業態によって業務もコスト構造も異なるのでKPIも異なりますが、指標のわかりやすさ、手の打ちやすさにも考慮して設定すると生きた指標となります。
なお、中小企業では意識する必要ないと思うので簡潔に言いますが、
KGI(重要目標達成指標)~全社的な大きな戦略目標
KPI(重要業績評価指標)~部署や個人に紐づく細かな戦術&行動指標
です。組織が大きくなると使い分けが必要です。
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